ポイント
低体温療法適応可否の判断は、標準脳波計ではなく、aEEGを用いて定量的に行う
電極は、原則として両側頭頂部に貼り付ける
aEEGの判読の際には、インピーダンスが十分に低いこととアーチファクトに注意する
圧縮波形だけでなく、生波形(raw tracing)で確認する
予後予測の観点からも、脳波背景活動の回復が重要
低体温療法における脳波検査の意義は、ひとつは、①低体温療法適応基準における客観的指標、もうひとつは②低体温療法中の脳機能モニターである。
①については、aEEGを用いることが推奨される。この理由としては、aEEGが設定や測定開始が簡易でありすぐに測定できること、また、定量化された圧縮波形は客観性に優れることである。aEEGの欠点としては、環境ノイズに弱いことが挙げられる。
②については、必須ではないものの、低体温療法中のけいれんの検出や、背景活動の回復度合いによる予後評価の観点から、可能であれば標準脳波計による長時間が望ましい。
aEEGと標準脳波計の比較のまとめ
aEEG | 標準脳波計 | |
---|---|---|
短所 | 環境ノイズに弱い けいれんの検出感度が低い 空間分解能が低い |
判読に経験を要する 設定が複雑 定量性がない |
長所 | 装着・記録開始が簡単 定量性がある 長時間記録が可能 |
環境ノイズに強い けいれんの検出感度に優れる 空間分解能が高い |
脳波背景活動の回復と予後
低体温療法中、後の脳波背景活動の回復の度合いは予後評価の観点から重要である。
一般に、脳波の背景活動回復が遅いほど神経学的予後が不良である。
低体温療法を行うことで脳波の脳波の背景活動回復は大幅に遅れることが知られており、低体温療法を行わない場合とは、ことなる基準で判断する必要がある。
低体温療法とけいれん
低体温療法の適応となるほどの新生児では、臨床的けいれんあるいは電気的けいれんを認めることがしばしばある。
特に電気的けいれんは脳波でのみ検出可能であるため、低体温療法中も持続的な脳波モニターリングを行うことが望ましい。