脳低体温療法症例登録
2010年に改定されたILCORの蘇生法推奨では、中等症~重症の新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する低体温療法が標準治療とされた。現時点では、18か月後の死亡もしくは重度の神経学的後遺症を減少させるnumber needed to treat(NNT)は9であり,低体温療法の脳保護効果は十分とは言い難い。今後、適応基準や冷却方法・併用療法の改善により、脳保護効果を増強する必要がある。日本が世界にエビデンスを発信する礎となる症例登録制度の確立が急務である。
わが国で中等度~重症HIEと診断された児を登録し、臨床情報を蓄積・解析することで、予後因子をスクリーニングする。
・低体温療法の導入が 考慮された症例を登録する。
・入院時に一次登録をおこなう。
・退院後1か月以内をめどに急性期情報~退院時検査情報を提供する。(可能な限り退院時のMRIを撮像する)
・2歳,4歳時に,予後判定情報の提供をおこなう。
・低体温療法を実施した症例は全例登録を原則とする。
年に2回,学会のサテライト低体温療法講習会(脳症の診断・脳波・画像・冷却管理・最新論文Update・発達評価法などのレクチャーを40分×3-4セッション)を開催し,協力施設は無料参加.登録数に応じ無料参加者数を決定
・Bayley式発達評価Ⅲ版の講習会無料参加(定員あり;事前登録制)
登録事業事務局は当面「Consensus2010に基く新しい日本版新生児蘇生法ガイドラインの確立・普及とその効果の評価に関する研究班(分担研究者: 田村正徳)」におく。